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【2/4】冷えと病気のメカニズム ― 血流・代謝・酵素の働き・免疫の関係

  • 執筆者の写真: 小林 H
    小林 H
  • 11月5日
  • 読了時間: 4分

こんにちは。美健家です。


前回は「自然治癒力」の基本的な関係をまとめました。今回はもう一歩踏み込み、「冷え」が私たちの体にどのような影響を与えるのか――その仕組みを科学的な視点でのポイントをまとめていきます。


※この記事は、川嶋朗氏の「60歳から体温を0.5℃アップする健康法」の内容を参考に構成しています。ただし、記事中の表現や見解は、美健家の視点によるものであり、必ずしも原著の意図を完全に反映したものではないことをご了承ください。



■ 冷えると何が起こるのか ― 冷えと病気の体内の連鎖反応


人間の体内には、血管が地球2周半分もの長さで張り巡らされています。血液はその広大なネットワークを駆け巡り、全身の細胞へ酸素と栄養を届け、老廃物を運び出す役割を担っています。


しかし、体が冷えると血流が滞ります。血液の中の脂質は冷えると固まりやすくなり、血管の内壁に付着して血管が狭く・硬くなるのです。


血液がドロドロになり、循環が鈍る結果、


  1. 酸素と栄養が十分に運ばれない

  2. 細胞の修復が遅れる

  3. 老廃物の排出が滞る


という「負の連鎖」が起こります。


この状態では、細胞は本来の代謝活動を行えず、結果として代謝の低下免疫機能の低下につながります。著者はこの仕組みを「冷えによるエネルギー循環の破綻」と表現しています。



■ 酵素の働きが低下すると、体は動かない


血流と並んで重要なのが酵素の働きです。酵素は、体内での化学反応を仲介する“スイッチ”のような存在で、消化・代謝・免疫すべてに関わります。


ところが、冷えによって体温が1℃下がると、酵素の活性は40%近くも低下するとも言われています。体温が下がれば、血液は流れにくくなり、酸素供給も減少する。つまり、冷えは「燃焼効率の悪いエンジン」に例えられる状態です。


こうして代謝が落ちると、エネルギー消費が減り、体に老廃物や脂肪が蓄積します。これが、肥満・糖尿病・高血圧などの生活習慣病の温床となると本書では説明しています。 つまり冷えと病気は切り離せない関係と言えると思います。



■ 「冷たい飲み物」と「冷えた体」 ― 現代型の冷え症候群


著者は、冷えの原因のひとつとして「コールドドリンク症候群」を挙げています。


夏場の冷たい飲み物や、冬でも常に冷蔵庫からペットボトルを取り出して飲む習慣。これらが、体内を直接冷やす最も単純で深刻な行為だと指摘します。


胃腸が冷えると、消化酵素の働きが低下し、腸内環境も乱れます。腸は免疫の約7割を担う臓器であり、その冷えは免疫力の低下に直結します。


また、オフィスの過度な冷房も体表面の血流を奪い、自律神経のバランスを崩します。

川嶋氏はこれらを総称して「現代型冷え」と呼び、特に60歳以上では筋肉量の低下と相まって深刻化すると述べています。


■ 冷えは「血液の質」を変える


興味深いことに、冷えによって変化するのは血流量だけではありません。血液そのものの「性質」も変わります。


低温下では赤血球の柔軟性が失われ、毛細血管の通過が難しくなります。こうして微細な循環が阻害されると、体の隅々――特に手足、皮膚、脳など――が酸欠状態になります。


このような慢性的酸素不足が、頭痛・集中力の低下・不眠・うつなど、心身両面に影響を及ぼすことがわかっています。つまり冷えは、単に「冷たい」だけでなく、心のコンディションにも波及する生理的ストレスなのです。



■ 「温活」がもたらす逆転の循環


ではどうすればこの悪循環を断ち切れるのでしょうか。

著者は明快に述べています――温めればよい


体を温めることで血流が回復し、酵素が再び活性化。代謝が上がり、免疫細胞も動き出す。これが「温活による回復のスパイラル」です。

体温が上がる → 酵素が働く → 代謝が上がる → 免疫が強化される

この循環が一度回り始めると、身体は自ら治癒へ向かい出します。


美健家の陶板浴でも、継続的に入浴されている方ほど体温が安定し、冷え性や睡眠の質の改善を実感されています。医学的理論が、実際の体感として裏づけられているのです。



■ 冷えは「静かなSOS」


冷えは痛みも熱も伴わず、静かに進行します。だからこそ、多くの人がその危険に気づかないまま日常を過ごしているのです。


しかし実際には、冷えは病気の前段階=体のSOS信号です。


血流・代謝・免疫の三拍子がそろって働いてこそ、私たちの自然治癒力は本来の力を発揮します。


次回は、この「冷え」を引き起こす現代的な生活習慣――食事・ストレス・薬――の関係を詳しくまとめていきます。【毎週水曜日更新】




■ 今回の記事を書く為に参考にした本


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著者:川嶋 朗

医学博士。神奈川歯科大学大学院統合医療教育センター長、他多数兼任...。

西洋医学と東洋医学を融合した統合医療の実践に尽力。「冷えは万病のもと」の考えを広め、多数の著書を通じて温活や自然治癒力の重要性を発信されている先生です。特に「患者力のすすめ」はおすすめです。








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