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【3/4】現代人をむしばむ冷えの要因 ― 飲食・ストレス・薬の影響

  • 執筆者の写真: 小林 H
    小林 H
  • 11月12日
  • 読了時間: 5分

こんにちは。美健家です。


これまで、体を温めることが自然治癒力を高める基本原理であること、そして冷えが血流・代謝・免疫の働きを阻害することを見てきました。


では、なぜ私たちはここまで体を冷やしてしまうのでしょうか?

第3部では、現代生活の中に潜む「冷えの原因」を掘り下げていきます。


※この記事は、川嶋朗氏の「60歳から体温を0.5℃アップする健康法」の内容を参考に構成しています。ただし、記事中の表現や見解は、美健家の視点によるものであり、必ずしも原著の意図を完全に反映したものではないことをご了承ください。



■ 「コールドドリンク症候群」― 飲み物が冷えを作る


著者・川嶋朗氏は、冷たい飲み物を頻繁に摂る現代人の習慣を「コールドドリンク症候群」と呼びます。


真夏の炎天下でも、オフィスでも、冷えたペットボトル飲料が手放せない――そんな生活を送る人は多いでしょう。


しかし、冷たい飲み物を口にするたびに、胃腸という“体の中心”が内側から冷やされているのです。


胃腸の温度が下がると、消化酵素が十分に働かず、食べ物をうまく分解できません。その結果、エネルギー吸収が滞り、代謝が落ち、免疫の働きも低下してしまう。


まさに「体内冷房」が常時ONの状態。これが、知らず知らずのうちに冷えを定着させる最大の原因なのです。


さらに、オフィスの強い冷房も加わります。冷気は下へ沈むため、座って仕事をしている人の下半身は常に冷風の直撃を受けている。

これにより、足先から骨盤周辺までの血流が悪化し、女性では生理不順や不妊の一因になるとも指摘されています。


■ ストレスが冷えを呼ぶ ― 自律神経の乱れ


体の冷えは、単に外的な温度の問題だけではありません。


著者は、「心の冷え」にも注意を促しています。


人間は強いストレスを感じると、交感神経が優位になり、血管が収縮します。

これは「戦うための生理反応」ですが、現代社会ではこの状態が長く続いてしまいがちです。

その結果、血流が滞り、末端が冷え、常に体が緊張したままになります。


とくに現代のストレスは、スマートフォンやSNS、過密な労働環境、孤立した人間関係など、「絶え間ない小さな刺激の積み重ね」で起こります。


これが慢性ストレス性の冷えを生み出しているのです。


冷えは単なる温度の問題ではなく、心身のバランスの問題である。

美健家でも、お客様が陶板浴に通うことで「体だけでなく心がほぐれる」とお話しされることがよくあります。


体が温まることで副交感神経が優位になり、リラックスホルモンであるセロトニンの分泌が高まる――まさに、心と体の両面から冷えが解かれていくのです。


■ 薬がもたらす「冷えの副作用」


川嶋氏は、薬の乱用も冷えの大きな要因だと警鐘を鳴らします。


鎮痛剤・抗炎症薬・ホルモン剤・抗がん剤などには、血流を抑えたり、体温調節を乱す副作用があるといわれています。


特に長期間の服用や多剤併用は、自律神経とホルモンのバランスを崩し、慢性的な冷え体質をつくり出します。


たとえば、風邪薬で熱を「無理に下げる」こと。これは本来、体がウイルスを退治するために上げている熱を止める行為です。


一見楽になりますが、結果的に体が持つ自然治癒の働きを抑えてしまうことになります。

著者はこうした傾向を「治療の過剰依存」と呼び、次のように述べています。


熱は敵ではない。体が治そうとしている証拠である。

体温を下げる薬を常用すれば、治癒のサインを見逃し、冷えた体だけが残る――これは本末転倒です。


■ 食の乱れも冷えを加速させる


食生活の西洋化も、冷えを進行させる要因のひとつです。

砂糖・小麦・乳製品・加工油脂などを多く摂る現代食は、体を冷やす性質を持つ「陰性食品」が多い。


また、朝食を抜いたり、夜遅くに食事を摂ると、体内時計が乱れ、代謝リズムが崩れます。

このような生活を続けると、筋肉(=熱を生み出す器官)が衰え、体温が下がる悪循環に陥ります。


一方で、体を温める「陽性食品」――根菜類、しょうが、みそ、発酵食品などを取り入れることで、内臓から熱が生まれやすくなります。


陶板浴で温める外側からのアプローチに対し、食は内側からの温活


両輪をそろえることで、はじめて「冷えない体」は完成します。


■ 現代型冷え症は“生活習慣病”である


著者は強調します。

「冷えは、もはや一部の人の症状ではなく、現代社会が生み出した生活習慣病である。」

冷たい飲み物、冷房、ストレス、薬、栄養の偏り――そのどれもが日常に潜んでいます。

そして恐ろしいのは、それらが少しずつ・確実に体の温度を奪っていくこと。

冷えは外見には現れにくく、本人も自覚しにくい。


けれどもその内側では、血流・酵素・免疫が静かに弱まり、病の芽を育てているのです。



■ 「冷え」は自分で作っているから、自分で変えられる?


私たちは、自分の生活習慣で冷えを作り出しています。

ということは、その逆も可能――自分の手で温め直すことができるのです。


温かい食事を摂る、湯船に浸かる、冷たい飲み物を控える、深く息を吐く――その小さな積み重ねが、体の温度を1℃上げる第一歩になります。


次回は、最終章として筋肉・食事・生活リズムから自然治癒力を引き出す方法を、実践的な視点でまとめていきます。


■ 今回の記事を書く為に参考にした本


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著者:川嶋 朗

医学博士。神奈川歯科大学大学院統合医療教育センター長、他多数兼任...。

西洋医学と東洋医学を融合した統合医療の実践に尽力。「冷えは万病のもと」の考えを広め、多数の著書を通じて温活や自然治癒力の重要性を発信されている先生です。特に「患者力のすすめ」はおすすめです。








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